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親なるもの断崖 第1部 あらすじ(若干ネタバレあり)

親なるもの断崖 第1部 あらすじ(若干ネタバレあり)

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親なるもの 断崖 は、昭和2年4月、松恵16歳。その妹・梅11歳。武子13歳。道子11歳の4人が、青森から海を渡って北海道の室蘭の幕西遊郭に売られてきたところから物語が始まります。

少女4人が富士楼という遊郭で働くことになるんですが、容姿や性格などから、松恵、梅、武子、道子、それぞれの人生が大きく違ったものになっていきます。

それぞれの人生が違ったものになっていくと言っても、この時代に遊郭へ売られてきた少女に、希望というようなものは無かったのでしょう。

松恵、梅、武子、道子、それぞれが、違った「絶望」「壮絶」「狂気」「地獄」といった深い淵の中でもがくことになります。

親なるもの断崖 第2部の中に印象的な回想シーンがあります。そこでは次のような語りがあります。

「なーんもいい事なかったしょう」「これからもなーんもいい事ないわあ。そんなもんだべさあ女なんて」「なしてそったらに真剣に生きようとするのさあ。苦しいだけだべさ」「生きようと思えばここは地獄……」「死んだと思ってもここは生き地獄よ」

これが、この時代に遊郭に売られてきた女たちの想いをよくあらわしています。

少女4人・それぞれの生きる道

松恵

松恵と梅の姉妹は、実家の父が馬に蹴られて寝たきりになったため、6人兄弟の中から松恵と梅が遊郭に売られてきます。松恵には嫁に行く相手もいたようですが、貧しかった時代の悲哀です。
松恵は富士楼に連れてこられたその日に女郎として客を取らされ、首を吊って自殺します。
初体験の男性が見ず知らずの男だったんです。これから一生これが続くと思うと心の底から絶望したことでしょう。

武子

武子は親から売るために育てたと聞かされていて、本人も自覚があって13歳で遊郭へ売られてきているので、他の3人に比べるとじぶんが何をすればいいのか、女郎ではなく芸妓となるためにどうすればいいのかを分かっていて女将さんに気に入られたと思える節があります。
女将さんに目をかけられて、芸妓になるための厳しい稽古の日々を続けて幕西遊郭一の芸妓となっていきます。
執念にも似た思いで芸妓になって地位と名誉、そして旦那からの資金で財まで手に入れますが、この時代の狂気を身にまとって生きることになります。

親なるもの 断崖 武子の狂気に満ちた人生の記事でもう少し詳しく解説しています。

道子

道子は顔もまずく、体もずんぐりだったため高く売れないために、親から親不孝ものと言われながら売られていきます。
容姿の悪さから富士楼の下働きをさせられますが、女郎になるために自分で望んであばら家の遊郭に売られていきます。
ずんぐりむっくりした体型と醜女の容姿なので、底辺の女郎屋で客を取ることになりますが、本人は案外幸せだったのかもしれません。

親なるもの 断崖 道子の選んだ生き方と病気の記事でもう少し詳しく解説しています。

梅は11歳の若さで自ら女郎になり、幕西遊郭でも売れっ子の女郎になるんですが、さらに波乱万丈で壮絶な人生を歩んでいくことになります。
親なるもの断崖1部2部を通して中心的な人物が梅ですが、最初から最後まで凄惨な人生と言わざるを得ません。

親なるもの 断崖 梅の壮絶な生きざまとは?の記事でもう少し詳しく解説しています。

親なるもの断崖 第1部 まとめ

製鉄の町・室蘭で、当時の貧しさや性風俗の習慣など様々に絡み合う時代背景の中で、4人の少女が(松恵は自殺したので正確には3人)必死に生き抜いていく姿を描いています。

この巻では、富士楼という遊郭が物語の中心にあり、富士楼の女将や番頭、その他の女郎などの人間関係が少女たちの人格を形づくって行きます。

このサイトで多少あらすじを書きましたが、曽根富美子さんの描写の力というか、絵とセリフの上手さは作品を実際に読んでみないと分からないと思います。

昭和初期の貧困の時代、遊郭に売られた女性がどう生きたか。すばらしい作品だと思いますので、是非読んでみて下さい。


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